盧知容Noh Geeyong
クリエイティブ担当(シニアチーフ)
中途入社
上田裕喜Ueda Yuki
クリエイティブ担当(シニアチーフ)
中途入社
−お二人は建築CG業務に盧さんは東京、上田さんは名古屋と2拠点で従事されていますが、まず始めにプランテックに入社したきっかけを教えていただけますか。
盧:
私は前職は建築CG制作に特化した会社で、マンションの建築CG制作をしていました。10年近くマンションCGを制作しましたが、オフィスやホテル、商業施設のCGにも取り組みたいと感じるようになり、当時のクオリクス(現株式会社プランテック総合計画事務所)がCGだけではなく映像やスペースデザインなどに関わっていることを知りました。他にもグループとして大規模な設計プロジェクトを扱っていることに魅力を感じ、この会社に入れば様々なプロジェクトに携わることができると感じ入社することになりました。
上田:
私は約8年前に入社したのですが、前職の設計事務所には約3年在籍し商業施設の内装設計などをしていました。建築プロジェクトを一通り把握し、企画から建築設計、CGパース作成、社内のDTPデザイン・Webデザイン製作を担当しました。しかし、前職ではこれまで学んだデザイン能力を業務に生かす上で自由度が少なかったため、徐々に建築CGやパースを制作することにシフトしていくうち、クリエイティブな仕事に魅力を感じ、プランテックが様々なクリエイティブ事業を展開していたので入社しました。
デザインの意味や思いを汲み取り、自分の考えもCGに反映する。
自由度があるプロジェクトは自分の経験値を提供することができ面白みを感じます。
−現在はどのようなCG制作をしているのですか。
盧:
現在はオフィスビルのコンペ資料に掲載する建築CGやオフィス内観の検討用CG、都内の再開発計画の提案用キーイメージCGをコンサルティング会社から受注し制作しています。クライアントからイメージをヒアリングしてCGで建物を具現化する業務です。建築CGには2つのタイプがあり、1つは建築図面が揃っていてその通りにCGを制作するプロジェクト、もう1つは図面等がなく何もないところから自由度を持って制作するプロジェクトです。どちらにも特徴があり、建築図面が揃っているプロジェクトは設計者の意図をCGに反映させなければなりません。私は10年以上建築CG制作をしており、デザインの意味や思いを汲み取りながらCG上に自分が持つ主張も反映するように心掛けています。逆に自由度があるプロジェクトはこの空間や建物をCGとしてどう魅力的に見せられるか、自分の持つ能力が試されます。挑戦的な建物を描くこともありますし、クライアントと意見を擦り合わせながら制作しています。そういった点では自由度があるプロジェクトは自分の持つ経験値を提供することができ面白みを感じます。
上田:
私も盧さんと同様に、設計の検討案件やメディア用の広報物等の建築ビジュアライゼーションと言われるCG表現の静止画やアニメーションをメインに制作しています。最近はVR(仮想現実)制作にも関わっています。最近はXR(現実世界と仮想世界を融合させて新しい体験を提供)研究や制作にも関わっており、クライアントは従来紙スケッチや2Dベースで説明していたものを3D空間で体験しながら学び知ることができる分野を重要視しており、そういったプロジェクトにも携わっています。基本的に設計に関連するデザインの検討、プレゼンテーション、そして販促が主となっています。
−昨年社内でVRブースを作り体験会を開催していましたよね。
盧:
今後は平面ではなく空間を感じられるようなVRが主流になると考えています。設計業務も手書き図面からCADなどの2Dにシフトし、現在はBIMなどの3Dに変化していますよね。今後、建築CGもBIMなどの設計用3DDATAと連携して、図面を書きながらVRにすぐに変換し、その場でデザイン検討が可能になります。遠隔で離れたお客様との共有もしやすくなるでしょう。BIMなどの設計用3DデータをVRで活用するために私たちも勉強しており、VR技術で設計者の作業をより軽減できるように私達もサポートしていきたいですね。私達もVR等のノウハウの蓄積を進めており、クライアントへの業務提案もしています。今後は設計分野でも積極的にVRなど先端の技術を使い、クライアントへのプレゼン機会を増やしてほしいと思います。
上田:
私と盧さんは昨年のTwinmotion(建築ビジュアライゼーションソフト)を使用したCGアニメーションアワードで全世界BEST6に入賞したスキルを持っています。また、ここ数年でCGソフトは格段に進化し、今後も更に利便性の高い優秀なソフトが開発されると予想しています。今後はCGソフトの社内レクチャーやサポートの推進についても考えています。そこで生まれたコミュニケーションによる新たな提案の可能性も探っていきたいですね。
(作品URL:https://www.instagram.com/p/B5dLteeonxA/ Twinmotion公式Instagram)
−クリエイティブチームと設計チームの建築CGの差別化はどういった部分に現れているのでしょうか。
盧:
私達の制作する建築CGは主にクオリティを重視した広告用CGが多く、完成した1枚のCGで印象的な建物に見えるものを制作しています。私は絵を描いているつもりで制作をしていますので、必然的にレタッチ2D作業も増えますね。設計チームのCG制作は設計した建物がどう見えるかを確認するツールとして、クライアントに図面では理解しにくい部分をCGで補足できるよう制作します。昔はモックアップや模型を制作していましたが、今はCGでクライアントに提案することが多いですよね。高いソフトウェアで高品質なものを描くというよりは素早く自分が考えたものを絵にすることが多いのかもしれません。
上田:
CGソフトにはトレンドがあり、同ソフトを使い工夫を加えなければ同じCGができてしまうのは当然ですが、私達建築CGチームに求められるのはそこから先の工夫の仕方ですね。いかに会社の色や個性を出すことができるかが求められていると感じながら制作しています。
−では、建築CGの技能を習得するのに必要なことはどういったことでしょうか。
盧:
高品質な建築CGを制作するにはセンスも必要かもしれませんが、高級ホテルの内装CGを制作するには図面や写真が用意されていても、実際に高級ホテルを見て感じなければイメージが掴めないこともあります。新入生や学生が初めてCGを描こうとするとき、描き方や事前の準備について聞かれることがありますが、ソフトの扱い方は実践で身につき機能的なことなのでさほど重要ではなく、様々な建物や風景に多く触れ経験することが後に仕事をする上での財産となります。東京でも有名な建築物を目にできる機会は多く、少し背伸びをして普段行かないようなレストランやホテルに行き空間を体験することが勉強になります。建築CG制作だけでなく、これから空間表現を仕事にする人たちにはソフトの使い方よりも実体験を得ることが腕のいいデザイナーや設計者になれる近道だと思います。
−クライアントにクオリティの高い成果物を提供する上で工夫していることはありますか。
上田:
クライアントが求めているもの以上のものを提供するという点はプランテックのどのチームも持っている意識だと思っています。あとはスピードですね。設計事務所はスピードを重視する企業が多く、早めに仕上げて内容のチェックを受け成果物を納品することは常に心がけています。そうすれば次の工程にも余裕を持って進めますし、ひいては次の受注にも繋がると感じています。仕上げるスピードを高めいかに納品物としてクオリティを上げられるか、その点が次回の仕事もクライアントに選んでもらえるポイントですよね。
−建築CGは二人で同じプロジェクトを分業制作することもあるのですか。
盧:
東京では建築CG以外のCG関連プロジェクトもあるのでその場合はチームを組んで進めます。プロジェクトによっては分業が難しい時もあります。私と上田さんで分業制作すると、例えば同じ内観CGでもクリエイターによるテイストの違いで統一感のない内観CGができる場合もあります。なので、例えば外観は私が制作し、内観は上田さんが担当するといった棲み分けで分業することがあります。私は暗めのCGを制作するのが得意で、制作者によって同じプロジェクトでもやはり個性がにじみ出ます。CGは機械的に制作しているように見えますが、クライアントごとに要求の機微を感じ取ってクオリティの高い成果物を制作していくものだと思っています。クリエイティブチーム全体に言えることですが、全員が得意な分野が違うので、工程ごとに担当者を変えてアサインされることもあれば一気通貫で一人が一つのプロジェクトにアサインされることもあります。
上田:
アサインは今までの経験により変化しますね。私はこれまで建築の見せ方を重要視し携わってきました。他のクリエイティブメンバーなら、例えばプロダクトをいかに綺麗に見せるかが重要視されるなど、プロジェクトにより方向性が変わってきます。様々な個性が揃いプロジェクトによってアサインされるメンバーが変わるのはプランテック全体にも言えることですね。
−ではお二人は同じ建築CGの分野に属していても職階が違うだけで、全く違う業務をしていることが多いのですね。個々のプロフェッショナルというイメージに変わりました。
盧:
分野は同じですが、一緒に制作するプロジェクトもあれば、一人で仕上げるプロジェクトも多くあります。お互い長く同じ分野でプランテックに在籍しているので、おおよそのお互いのプロジェクトの成果物の見当はつきますね。クリエイターとしてお互いに実力は理解していますので、質の高いものを制作するためにお互いの個性をリスペクトしている感じです。
−これからどんなことにチャレンジしていきたいか。
盧:
チャレンジしたいことは多くありますが、中でも設計業務におけるCG制作の効率化やクオリティアップについて興味を持っています。設計者や空間デザイナーにとっての設計業務におけるCG制作は必須作業の一つになっています。CG作成業務が重要ではあることは間違いないですが、メイン業務ではないので多くの作業時間を使うことはできません。そこで短時間で質のいいCGを描くためには作業効率を上げる必要があると考えています。VR含めた最適なCGソフトの選択や3D素材のライブラリー共有、ハードウェアー共有、作業フローの見直し、教育、セミナー等、ちょっと何かを変えるだけでCG作業効率は格段に上げることができます。さらに、私たちクリエイティブチームのノウハウや技術をうまく設計業務に融合することができればいいですね。そうすればグループ全体のビジュアライゼーション業務の効率やクオリティが上がるはずです。
上田:
CG業界はBIMの発展で自動化されより従来の建物の完成形をみせることは簡単に現在は見るから感じる体験をデザインさせるものへ変化をしています。5Gなどを利用したデジタル社会になっていく中で様々なデバイスを通じてXRの世界が展開されるといったことが、街中全体で行われる流れがすぐそこに来ています。ただ単に美しいだけでなく利便性も考慮できるデザイン性と、感情に訴えかける演出力、建築とデジタルそれぞれの特色を兼ね備えたアーティストを目指しチャレンジしていきたいです。